前回、【株初心者向け】株取引・配当を確定申告したほうがいいのか徹底的に調べてみたという記事でどうするのがおとくか、まとめて書きましたが、株トレードと確定申告にまつわる用語の説明をしつつ基本から詳しく解説してきます。
この記事では、
- 株取引の口座の種類
- 配当金受け取り方法の種類
- それぞれ何が違うか?
- 実際どれを選んだらいいか?
をまとめました。
一般口座と特定口座の違いは何?
一般口座と特定口座の違いは、年間取引報告書があるかどうかです。
特定口座はさらに、源泉あり・源泉なしで2種類に分かれています。
一般口座
源泉徴収 – なし
年間取引報告書 – なし
昔からある株取引用のシンプルな口座です。
源泉徴収が行われず、後述する年間取引報告書なども発行されません。
利益が出た場合、税務署への所得申告を必ず自分でしないといけません。
給与所得者なら20万以内は確定申告不要ですが、それとは関係なしに住民税はかかるため、税務署に所得を申告する必要があります。
(確定申告をした場合は同時に所得も申告しているので、別途申告は不要です)
特定口座 (源泉なし) … 簡易申告口座
源泉徴収 – なし
年間取引報告書 – あり
名前の通り、確定申告を簡単にできるようになっている株取引口座です。
一般口座同じく、源泉徴収は行われないため、利益が出た場合、税務署への所得申告は必ず自分でしないといけません。
毎年、確定申告時期になると年間取引報告書が発行されるので、自分で収支の計算をする必要がなく、一般口座より簡単に所得申告や確定申告ができます。
特定口座 (源泉あり) – 源泉徴収口座
源泉徴収 – あり
年間取引報告書 – あり
年間取引報告書の作成だけでなく、
自動で源泉徴収までやってくれる株取引口座です。
所得税・住民税を源泉徴収済みですので、利益が出た場合も確定申告・所得申告をしなくてよく、初心者にもおすすめの株取引口座です。
いくら稼いでも確定申告不要で、総合所得には含まれないので、極端な話、特定口座(源泉あり)なら、主婦が1億稼いでいても扶養家族のままでいられます。
源泉徴収口座にしたほうがいいか?しないほうがいいか?
インターネットには色々な意見があって、
・源泉徴収ありの特定口座を使っていると払わなくていい税金を取られるから損
・年間利益を必ず20万円未満に抑えるなら「特定口座の源泉徴収無し」がいい
などなど出てきますが、こういう意見を安易に鵜呑みにしないほうがいいです。
初心者、確定申告がよくわからない人、めんどくさがりな人ほど、迷わず特定口座(源泉あり)の源泉徴収口座を選びましょう。
よく、「サラリーマンで年末調整されているなら20万以下の副収入は税金がかからないので確定申告しなくてもいい」といわれますがそれは正確には嘘です。
他の方法だと、少しでも利益が出た場合、サラリーマンで20万以下でも「住民税の申告」というものが別で必要になり、申告しないと脱税になってしまいます。
知ってか知らずか、源泉なしで申告なしで過ごしている方もいるようです。
投資で儲けた主婦が1,000万円の脱税で逮捕、なんてニュースが時々ありますが、特定口座(源泉あり)にしておかないと、あなたもそうなってしまうかもしれません。
補足:「税務署から指摘されなければ大丈夫、指摘がくるのは高額な場合や悪質な場合だけ」確かにそうかもしれませんが、万一突っ込まれたときに源泉徴収で節約できた数倍の重加算税になる場合がある…と考えたら、自動で源泉徴収してもらって、節税は他のまっとうな手段でやるほうが、精神的にもよく、健全だと個人的には思うのです。
以下は特定口座(源泉あり・源泉なし)、一般口座それぞれの場合の特徴です。
- 特定口座(源泉あり / 源泉徴収口座)
- 分離課税で、源泉徴収されているので、どんな場合でも確定申告不要です。
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確定申告用に「年間取引報告書」が発行されるので、確定申告が必要になった場合も安心。
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損失がでた時や、20万以下のときは確定申告して源泉の還付を受けることもできます
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デメリットは20万以下でも源泉徴収されるため給与所得者は所得税が余分にかかること(10万利益なら15,315円の所得税がかかる)。
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メリットは儲けがでて、利益が出た時に一切リスクや手間がないこと。
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迷ったらこれを選びましょう。
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特定口座(源泉なし / 簡易申告口座)
- 確定申告用に「年間取引報告書」が発行されるので、確定申告が必要になった場合も安心。(住民税の申告にも)
-
給与をもらっている人で、給与以外の所得の合計が20万以内で、確定申告不要な(年末調整されている)会社員ならお得。
(いわゆる給与所得者の20万円ルール)
20万以下なら、源泉徴収額 20.315% – 住民税所得割 5% = 15.315%分(最大 200,000 * 15.315% – 1 = 30,630)が浮く計算です。
注意点は、20万ルールは住民税には適用されず、所得税だけに適用されるという点です。
確定申告しない場合は、代わりに「住民税の申告」をする必要になります。
本当によくある勘違いなので注意しましょう。私も調べてみるまで知りませんでした。。
- メリット・デメリットは特定口座(源泉あり)の逆です。
- デメリットは儲けがでて、利益が20万円を超えた時に扶養から外れる・保険料が上がる・確定申告義務が発生すること。それとは別で、儲けが100円でも出ていれば、住民税を払わなければならないため年度末に税務署への確定申告または所得の申告が必要なこと。
- メリットは源泉徴収がされないので、給与所得者であれば20万以下までの所得税が浮くこと(10万の利益なら15,315円の所得税が浮く計算)。
- 特定口座(源泉なし)と同じですが、こちらは年間取引報告書が発行されません。
- 確定申告が必要になった時の手間がかかり、特定口座(源泉なし / 簡易申告口座)に比べてメリットが全くないので避けましょう。
メリット…特定口座(源泉なし)と同じ。
ここまでは株取引の口座の説明でしたが、
配当も、受取方法で証券口座・銀行口座・現金などが選べます。
次のページでは配当の受取方法の違いについて紹介します。
株式配当・利子も特定口座(源泉あり・源泉徴収口座)にするかどうか?
株の配当もどうやって受け取るかを選択できます。
証券口座受取、郵便局での現金受取、銀行振込から選べますが、
証券口座にした方がいいです。
株式数比例配分方式
源泉徴収: あり
受取先:証券口座
証券口座で受取る方法です。
配当税を税引きしたあとの金額が株取引の特定口座(源泉あり)に振り込まれます。
確定申告・所得申告が不要で、株取引とも損益通算されるので、
特別な理由がなければこちらの、株式数比例配分方式(証券口座での配当受取)がおすすめ。
登録配当金受領口座方式
源泉徴収: あり
受取先:好きな銀行口座
登録した銀行口座で受け取る方法です。
こちらの場合、配当税を税引きしたあとの金額が銀行口座に振り込まれます。
証券口座で受け取った場合と同様、源泉徴収されるので確定申告・所得申告は不要ですが、
損益通算はしてくれないので、その年に株取引で損が出たときは銀行口座受取だと損になります。
従来方式 / 配当金領収証方式
源泉徴収: なし
受取先:郵便局で現金受け取り、または好きな銀行口座
配当金を支払う会社(株主になっている会社)から直接配当を受け取る方法です。
郵便局で現金で受け取るか、振込口座を指定して振り込んでもらいます。
登録配当金受領口座方式との違いは、証券会社を経由せず直接受け取るという点です。
証券会社を経由しないため、配当税の税引きがされず、自分で税務署で配当金を申告する必要があります。
この方式のメリット(?)として現金で受け取れるので、不労所得感、お小遣い感があってなかなか嬉しいです。
ただ、前述の通り、税金を自分で納める義務があります。確定申告・所得の申告の作業が煩雑ですので、あまりおすすめしません。
まとめ
株取引は源泉徴収口座(特定口座・源泉あり)、
配当金の受取口座は証券口座(株式数比例配分方式)にしましょう。
株取引、配当のどちらも特定口座(源泉あり)にしておくと、
同一証券口座内であれば、その年の株取引と配当の収支を合算(損益通算)して、最終的な利益に対して源泉徴収してくれるようになります。
複数の証券口座で取引している場合は、さすがに他社の口座までは自動で損益通算してくれませんし、
1年のトータル収支が赤字になって来年以降に持ち越しで損益通算を行いたい、という場合は自分で確定申告する必要があります。
しかし、たとえば「配当利益はでたけど、同じだけ株取引が損だった」というような場合は損益通算でプラマイゼロで源泉徴収なしになるのは嬉しいポイントです。
これが受け取り方が別々だった場合、株取引の損失と配当の利益で損益通算するためには、自分で確定申告が必要になってしまいます。
特に、副業禁止の会社員、扶養家族に入ってる主婦など、確定申告できないケースの方は、ひとつの証券会社の口座で受け取るのが大きなメリットになるでしょう。