今朝ニュースを見ていたら、第二のおふくろさん騒動ともいえるニュースが流れていました。
ひこにゃんピンチ!…作者、彦根市に使用中止求める(YOMIURI ONLINE) より引用:
もへろんさん(22)が「適正なキャラクター管理を怠った」などとして、市と同祭実行委員会に祭終了後の使用中止を求める調停を彦根簡裁に申し立てたが、市は9日、ひこにゃんを今後も市のマスコットとして使用すると発表した。
実行委は祭のキャラクターとして2006年1月、もへろんさんが応募したネコをモチーフにした3種類の図柄を採用。実行委が許可した団体の出版物などへの利用を許可してきた。
しかし、申立書によると、実行委は「お肉が好物」「特技はひこにゃんじゃんけん」など作者の意図しないひこにゃんの性格づけをしたと主張。粗悪品が出回りかねないのに無制限に使用を承認しているなどとしている。
財産権である著作権を持つ彦根市に対して、作者のもへろん氏が著作者人格権のうちの同一性保持権を行使している形ですね。
著作権は譲渡可能ですが、著作者人格権は Wikipedia の言葉を借りると「一身専属性を有する権利であるため他人に譲渡できない」権利であるとされているため、勝手な性質の追加に対して異義を唱える事は妥当である、と思います。
しかし、前述の記事のように「祭終了後の使用中止を求め」たり、スポニチアネックスの記事にあるように、営利目的の利用や対して「相当額の支払いを求め」たりということまで要求できるかは、祭以外の利用や営利目的の利用が、著作者の名誉声望を害するかは微妙なところではないでしょうか。
今回の事例が教えてくれることは、クリエイター、デザイナー、エンジニアなど個人と企業の間での契約では、個人が作成した成果物の著作権は企業が所有する、という契約が多いと思いますが、この契約上でも個人が著作物に対して著作者人格権を行使することができるということです。
ちなみに、プログラムについては「特定のコンピュータで利用できるようにしたり、より効果的に利用し得るようにするために必要な改変(Wikipedia)」であれば同一性保持権でいう改変にはあたりません。
とりあえず彦根市の問題については、ひこにゃんは個人的にも好きなキャラクターですし、町興し成功の好例なので、当事者間でうまく話がまとまるといいなと思っています。
参考:
– 著作権法(Wikipedia)
– 著作者人格権